多くのご訪問ありがとうございます 参考になりましたら幸いです
2003.07.13 記
私自身が体験した味覚障害の苦悩な日々と治癒までの経過をここに書きます。
味覚障害でお悩みの方、参考になりましたら幸いです。
ちょうど2年前(平成13年7月17日)のことです。
家内が近所にできた「A亭というラーメン屋さんがおいしい」と言うので、子供たちが学校に行っている間にこっそり食べに行きました。
ここのラーメンは塩っ気が強く、しょっぱめのスープだと言うのですが、元来しょっぱいもの好きな私は、塩っ気を感じず「全然おいしくない」と口にしていたのです。
その晩、この日の7月17日は私の誕生日だったので、岩槻IC近くにある、プール(スライダー付)もあるA健康センターに行ったのです。
夕食はその中にある焼き肉レストランでした。
ハイエナのような子供たちと焼き肉を争おうと口にしたところ、全くおいしさを感じなかったのです。
この時、初めて自分の味覚障害に気づきました。
そう言えば一週間前から、好物のサラミを「これ塩気が少なくない?」と、家族に食べさせては「そんなことはないよ」と言われていたことを思い出しました。
商売柄すぐに思いついたのが「亜鉛の摂取不足か」と、早速翌日には、医療用卸のセールスに「今日の配送に亜鉛を持ってきて欲しい」と頼み、亜鉛サプリメントを表記の倍量にて服用し始めました。
それで改善すればここに書く話題にもならないわけで…
【味覚障害の症状】には
・味覚減退:食物の味が薄く感じる
・味覚消失:が全くわからない
・自発性異常味覚:何も食べていないのに、いつも苦い味がする
・悪味症:物が何とも表現できないいやな味になる
・解離性味覚障害:甘味だけがわからないと訴え、検査でも甘味のみ傷害されている
があります。
私のその後は、上記中の「悪味症」へと陥ったのです。
とにかく何を口にしても「まずい」のです。
「まずい」という表現がうまく書けませんが、鉄サビをなめているという感じでしょうか。(鉄サビをなめた経験もないですが…)
何を食べても舌が拒絶するのです。
お腹がすいて食欲があっても舌は食べ物を受け入れてくれません。
翌月の8月中までこの症状で苦しみました。
食べなければ仕事もできません。
唯一、口に入れられたのは、バナナとおかゆとビールでした。
バナナは甘い香りを鼻で楽しみ(楽しくない)噛まずに丸飲みです。
おかゆも噛まなくてもよい便利な食べ物です。(どこが…)
とにかく食べ物を舌の上にのせておくことができなかったのです。
すべて「まずい」のに、ビールだけはそこそこおいしく感じました。
真夏の暑いせいもありましたが、ビールの味はノドが感じてくれるのです。
「ビールはのどごし」のフレーズが初めてわかりました。
8月のお盆休みに千葉館山の国民休暇村を予約してありました。
さかな党の私には、新鮮な「さしみ」は至福の至りだったはずですが、食事は数秒で噛みくだき、ビールで流し込む、悲しくつらい食事でした。
そのせいで60kgの体重は一ヶ月で55kgになりました。
女性の皆さん「ダイエットなんか食べ物がまずければ簡単なことです」と、声を大にして言いたいです。
9月になり、悪味症からはだいぶ解消されましたが、味覚減退だけは残り、相変わらずおいしさはありませんでした。
口の中は、何も食べていないのにいつでも甘い味がするのです。
お手上げ状態でいくつかの病院を訪ねてみました。内科に行けば「神経内科に行ってみたら」と言われました。
耳鼻科に行ってもラチが明かず「どこか専門病院を紹介してください」と言っても「今は、いろいろ本が出ているから自分で探してみてください」と冷たいお言葉。
ネットで探して行ってみたのが専門科がある板橋のN病院です。 最初に耳鼻科の診察を受けた時「紹介状は?」と言われましたが「どこも紹介してくれないので自分で来ました」と毅然とした態度で訴えました。(助けて~)
その一週間後に味覚外来の検査です。
いろいろな味を付けた小さなチップを舌の各箇所に付けて味の判断です。
神経の感覚状態や嗅覚の検査も付随して行いました。(嗅覚は他の人より敏感です)
血液中の亜鉛濃度を調べるために、採血も5本ほど取りました。
食事状態や生活環境なども問診も判断基準です。
昼にハンバーガーなどのジャンクフード(ジャンクと言っていいのかしら?)を食べるときもありますが、少なくとも1日2回(朝食・夕食)は家族と同じ、愛妻?が作るものを食べていました。
ストレスも疑われるところですが、私が普段お客様に問診しているくらいで、ストレスをためる性格ではありませんし、食事ができない方がよっぽどストレスです。
味の感覚が落ちていると言うことで、内服薬を処方されました。
それでどんな薬が出るのかと興味を抱き、院外処方へ、薬局で出た薬は「プロマック」でした。(pdfファイルです)
この薬の本来の効能効果は「胃潰瘍」ですが、薬効分類名が亜鉛含有胃潰瘍治療剤となっており、味覚障害治療の代替薬として使われます。
今まで亜鉛サプリメントを倍量服用していましたが、期待と効能をかけてこの薬だけ服用していくことにしました。
3ヶ月後の定期検診で、味覚検査の結果は「20歳代の女性並みになってます」と言われました。
しかしそう言われても、自覚ではまだ物の味がわからないのです。
特に、甘味・塩味・旨味(アミノ酸の味)がわからない(まずい)のです。
●コーヒー牛乳が甘くない
●大好きなイカ刺しはおいしくない
●サラミなんてこの世にいらない
●酢の物って何物?
といった感じなのです。
待合室にいた同年代の男性に声をかけてみました「味覚障害ですか?」と…
すると、通院して1年、発症してから+α だそうです。
舌がピリピリと痛く改善は無いと言っておられました。
その方も、家庭をお持ちでジャンクフード三昧なんてしていないそうです。
私の調べた知識では、発症してから半年ぐらいであれば回復の確率が高いが、一年を過ぎると回復の確率が極端に減るというデータがあります。(この方もう治らないのかな~なんて)
舌の味蕾細胞の分裂が止まってしまうと言うことなのです。
「これはまずいな~」←これは味のことではありません。
薬が他にないのならと通院は無意味だと4ヶ月であきらめました。 その後、翌年(平成14年)のはじめまでは、自分で購入した「プロマック」を飲んでいましたが、このやり方は私には無意味のようで終止符を打ちました。
「どうしてなったのだろう?」 食事が悪ければ家族にだって味覚障害は出る、栄養物質だけより体内の環境を考えなければ…
同業者(薬屋)の友人に打ち明けても「君がそうなっちゃ困るな~」と笑われるだけでした。
私は「飲む・打つ・買う」のうち「飲む」だけをします。
あとの二つは時間の問題と予算の問題で現在も?していません。
考えた末、思い当たることがありました。
昔から、鍋や焼き肉などを腹八分ではなく腹十分いれて、ビールや酎ハイを飲んでは、家のトイレで陣痛(腹痛です)をこらえていました。
お腹に「寒邪(冷たい物)」が入ると超特急が走る体質なのです(脾陽虚といいます)。
毎晩の晩酌(日本酒は飲まない)で冷たい物をとりすぎているのも原因ではないかと思いました。
でもビールや酎ハイをやめて、晩酌の楽しみまでやめる気もないんですね。
であれば、
●お腹を暖め、食の欲をあげる「漢方薬」を主に
●味蕾の再生を願って「馬心臓製剤」
●やっぱり摂った方が無難かと「亜鉛サプリメント」
●水割りはお腹を温めるミネラルウォーターで
この4つを、毎日の食生活の中に取り入れていきました。
それから半年、気が付くと(漢方薬300包)が無くなっていた頃、私が作った料理を子供たちがおいしいと言っていたのです(まかないもしています)。
もうサラミも、醤油も、筋子も(これらはまずくて手を出さなかった物です)おいしく食べられるようになりました。
かれこれ2年近くかかりましたが、半分以上あきらめていた味覚障害が治ったのです。
これで一番の大好物の「アワビの刺身を腹十分食べるぞ!」と意気込んでいると「どこにそんなお金があるの!」とカミの声。
やっぱりストレスだったのかな…(^_^;)ナンテ