血は全てを知っている

血液の話し | タイセー漢方

 体の各組織や器官は、生きて活動するために、絶えず血液によって酸素や栄養物の補給を受ける必要があります。
 また、一方では炭酸ガスや老廃物を血液によって運び去ってもらうことも必要です。
 従って血液の循環が滞れば、当然いずれかの組織や器官に悪影響を及ぼします。
 また、病にかかったときにそれを治す力、つまり免疫力も血液中の細胞なのです。


サラサラの血液ってどんな血液?

 血液は無形成分である血漿と有形成分である血球から成り立っています。有形成分には血小板と白血球と赤血球が含まれ、血管の中を川のように流れています。特にこの赤血球は、肺からもらった酸素を全身の細胞へ供給し、炭酸ガスを持ってまた肺に戻ることを繰り返しています。

 本来、赤血球は出来立てのあんパンのように真ん中が少しへこんだきれいな球形をしていますが、脂肪分を多く含んだ過剰な栄養によってくっついたり、ストレスや活性酸素によって傷つき、金平糖のようにイガイガの形になってしまいます。こうなると、もう本来の機能をすることはできません。つまり、酸素が供給されなくなってしまうのです。これがいわゆるドロドロの血液です。

 日本人の死因のトップはガン、脳卒中、心臓病ですが、そのほか糖尿病や肝臓病などの生活習慣病は酸素不足の血液が起因していると言い切っても過言ではありません。


お血とは・・・・・

 体内に流れている血液は、多少の変化はあっても決して酸性に傾いているわけではありません。もし体内の血液が一様に酸化すれば生命は維持できなくなります。そこで、私たちの体内では血液が酸性化すると細胞組織や腎臓が働き、酸化した血液を追い出したり、弱アルカリに保つように作用します。ところが、多くの場合は前述のように血液が酸素不足になっているためうまくいかないのです。

 酸素不足を起こして酸性化した血液は、うまく排出されないと当然、血管内に残ってしまいます。さらにこうした血液を持った毛細血管は、正常な血液の循環系統から外され、内臓諸器官において孤立した状態となります。

 循環せず酸素の供給もうけない血液は、そこに滞り、次第に腐敗して、初めは強い酸性の血液がだんだん強アルカリの状態になります。これがお血です。

 東洋医学では「万病は一毒より生ず、一毒去りて病なし」といわれますが、この一毒こそお血なのです。


生活習慣病と血液

 では、血液の酸素不足によって各臓器が酸欠になるとどんな症状が起きるのか具体的に見ていきましょう。


【 脳 】 脳は人体の酸素消費量の20%を消費しており、二分間酸素供給を止めると死んでしまいます。また、軽い酸素不足でも頭痛、記憶力減退、ボケ、脳軟化症を起こす原因になります。

【肝臓】 肝臓に酸素不足が起きると、脂肪肝や肝細胞の壊死などを起こし肝臓病の原因となります。

【腎臓】 腎臓は全身の老廃物を排泄する大切な臓器であるとともに、養分や水の再吸収を行い体液のイオン濃度を調節します。腎臓への血液量が減り酸素不足を起こすと、腎機能が低下するため自動的にレニンという物質を出して血圧を上げ血流を増加させようとします。これを腎性高血圧といいます。

【心臓】 心臓は冠状動脈によって養われています。この動脈が硬化したりつまったりして起きるのが狭心症や心筋梗塞ですが、これも心筋の酸素不足です。

【高血圧・血管障害】 血液の粘り、血管の収縮、動悸や血行障害などにより血流が悪くなると、自動的に血圧を上げて各組織に血液を行き渡らせようとします。他の疾患と高血圧が同時に起きるのはこのためです。

 このほかさまざまな病気が、血液の酸素不足によってひき起こるのです。


血液を浄化

 このように汚れた血液はあらゆる病気を引き起こす原因となっていますが、逆にいえばサラサラの血液は、体内に滞ったさまざまな毒素を排出し、正常な機能を回復する作用があります。血液は体のお医者さんでもあるわけです。それがいわゆる免疫力です。つまり、免疫力を強化するということは、血液をサラサラの状態に保つことなのです。

 毎日の食事や生活の在り方だけで病を回避できたらこれに越したことはありません。とはいえ現代の社会では、食一つ取っても本来の望ましい食生活を送るのは、とても難しいことです。できるだけ自然に近い作用で、あるべき健康を維持するために、サラサラの血液を維持することを考えてみませんか。